年間管理・トラブル対策
葉が腐った胡蝶蘭を救う衛生管理と再生ケアの完全手順
葉が柔らかく変色して水がにじむ症状は、細菌性や真菌性の病害が疑われます。放置すると株全体に感染が広がりかねないため、初動 の隔離・除菌・乾燥を迅速に行うことが重要です。安全に作業するための段取りと再生の見極めポイントをまとめました。
最終更新日: 2025-09-23
隔離を最優先
病気の葉を見つけたら、同じ棚の株から離して個別に管理。換気扇と手袋で交差感染を防ぎます。
使用道具を徹底消毒
ハサミ・ピンセットは次亜塩素酸ナトリウム1000ppm相当で30秒浸け置き。作業ごとに布で拭き取ります。
乾燥と風通しを確保
水苔を軽く解し、サーキュレーターで風を当てて葉面を乾かします。湿度は50〜55%を目安に。
症状別の対処と判断
| 症状 | 想定原因 | 初動 |
|---|---|---|
| 葉の付け根が黒く濡れている | 細菌性軟腐病。高温多湿環境で水滴が付着したままになると発生しやすい。 | 汚染部分を清潔な刃物でカットし、切り口にシナモンパウダーや園芸用殺菌剤を薄く塗布。病害虫記事で薬剤の希釈濃度を確認。 |
| 葉の中央に水泡状の斑点が広がる | 真菌性病害。霧吹き後に風が当たらず水分が溜まった可能性。 | 斑点を含む葉を株元から切除し、鉢周りの水苔を乾いたものに交換。梅雨時の根腐れ対策を参考に通風を確保。 |
| 葉先だけが黄褐色に腐り始める | 冷暖房の風による乾燥と過湿の繰り返し。葉の水分バランスが崩れている。 | 葉先の腐敗部を切り取り、水やり記事を参考に乾湿のリズムを整える。必要に応じて葉水は午前中のみ行う。 |
葉を切り取った後は、刃物を再度消毒してから次の葉に触れるのが鉄則です。作業スペースを分け、害虫発生時の記事で紹介している衛生手順も参考にしましょう。
除菌と乾燥のステップ
- 腐った葉に触れる前に手洗いし、使い捨て手袋を装着。作業台にはキッチンペーパーを敷く。
- 殺菌剤やシナモンパウダーを事前に用意し、室温20〜25℃・湿度50%前後に整えてから作業を開始。
- 腐敗部を切り落としたら、切り口を風に当てて5〜10分乾燥させる。扇風機は弱風で株元から当てる。
- 鉢内の水苔を握ってみて冷たい場合は交換。過湿が続くと再発するため、トラブルシュート記事で乾燥サインを再確認。
- 隔離期間中は水やりを控えめにし、霧吹きは葉の表面ではなく周囲の空間に行う。
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回復状況を見極めるチェックリスト
72時間観察ポイント
- 切り口が乾いて艶が出ているか
- 新たな腐敗の広がりが止まっているか
- 株元から新根が動き出していないか
1〜2週間後の確認
- 葉の厚みが戻り、弾力が感じられるか
- 新芽が動き始めているか
- 水苔がべたつかず、軽さが保たれているか
衛生管理マニュアルを社内共有に
法人オフィスでは管理担当が変わるたびに対応が揺れがちです。除菌・乾燥の手順を社内マニュアル化し、万一のトラブルでも落 ち着いて対処できるよう備えておきましょう。